2020漫茶羅宣言。

重大なお知らせ。
この度、7月上旬に東京を離れ、実家の京都に戻ることになりました。

東京に引っ越してから5年目の決断になります。
緊急事態宣言解除後に話が一気に進んだこともあり、
コロナから逃げるための東京脱出の口実と思われそうですが、
実は祖母が亡くなった2年ほど前から考えていた選択肢でした。
今年は西暦2020年という節目にあたり、
両親とも還暦を越え、自分も30を迎えたという人生の節目
そしてコロナ禍という社会情勢の変化により
YELLOW BERETメインの活動の場であった
ビッグサイト等で行われる同人誌即売会も中止になったという事もあって、
一気に方向性が決まった形です。
5年間ある種の孤独の中で創作活動を頑張ってきましたが、
満足できる成果を上げることができないまま時間だけが過ぎてゆく日々でした。
しっかり腰を据えて物事を考えるためにも
一度実家に戻って今までを見つめ直すことも必要という想いで決断いたしました。
東京時代は北海道時代と比べると
やはり孤独に耐えた厳しい時代だったような気がしますが、
その中でもイベントを通していろんな人に出会えて、新たな発見もあり
イラスト依頼の企業案件漫画原作者と共同で漫画持ち込みをしたり、
最低限は漫画家志望者っぽい経験はできたかなと思います。
昨今のコロナ禍の中で一から職を見つけるのも大変という事で、
京都では家業を手伝う事になりそうです。
北海道時代も含めて約8年ぶりに実家に戻る形となります。
いろいろと出戻りにはなってしまいますが、まずは環境を変えようという事になりました。

同人活動に復帰し、漫画を描くために東京に来たため
ここまで見てると妥協に妥協を重ねた撤退行動と思われそうですが、
これまでの5年間で得た気付きもあります。

元々コミケ活動もそろそろ厳しく感じていてDL販売に移行しようとしたり、
漫画が分からなくなって趣味のプラモ制作や玩具収集から
フルスクラッチのフィギュア制作に挑戦したりと、
迷走した時期を経て、漫画家に拘らなくなっていたのも事実ですが、
漫画界自体も電子書籍化の波から大きく変革の時期を迎えていたわけで
漫画サイトやアプリなどメディアが増えたことで漫画家不足が騒がれる一方で
編集者とのトラブルや原稿料の低さなども話題となり、
漫画家自身が編集者を通さずにSNSで直接作品を届けるという形式も目立ってきました。
他方で「非実在青少年」の表現規制問題や「漫画村」などの著作権問題もありました。
こうした情勢をチャンスと見て安易に変革期の業界に飛び込むよりも
むしろ一度従来の業界から切り離された中で
自ら新たなプラットフォームを立ち上げたいという気持ちの方が強くなりました。
数年前から密かに温めていた構想に
「漫茶羅(まんちゃら)」があります。

漫茶羅の三位一体
作画、作曲、造形の三本柱からなる
従来の業界に縛られない新たなメディアミックスの提案でした。
漫画だけでは遅筆で読者獲得が難しくとも
時には漫画で、時にはフィギュアで、時には音楽で
創作活動の幅を広げる事で
現在のサブスクサービスのように受け手が自由に選択して楽しめる仕組みを作りつつ、
一つの作品を一つのメディアで縛らない創作者としての自由度を高めた形式であり、
出版社やレコード会社などの中間業者に頼らず、
作り手として確固たるテーマ、主体性を持ちつつも
受け手(ファンダム)を含めたその他の大勢の人と作り上げていく文化活動を想像していました。
これは同人における一次創作・二次創作の垣根、その曖昧な権利問題の解消の意図もあります。
フルスクラッチフィギュア制作に挑戦しようとしたのも、
このブログに「作画」「造形」「作曲」のカテゴリを揃えたのも
全てこの計画に沿っての行動だったのですが、
今になって考えるとこの構想って既にVRの世界では実現してるのです!
(図の真ん中の漫茶羅をVRに置き換えると違和感がない)

漫茶羅には東京一極集中の漫画・アニメ産業に対抗して
東京という土地柄に拘らないというのも一つの思想としてあって、
ネーミングにも表れていますが、
この頃、茶道(わび茶、禅)の影響を受けていたこともあり、
実家のある京都、お茶で有名な宇治を意識したところがあります。
いずれにしても茶会の形式を借りて、
ミニマルな世界最小のテーマパークを目指して
リアル世界での個人的な文化交流、サロンからスタートする事を想定していましたが、
コロナの影響を受けてリアルイベントを除外して再考すると、
VケットなどのVRイベントも含めた
VRChatでのイベント交流が最もこれに合致すると気づいたのです。
造形は言わずもがなアバターやワールドなどの3Dモデリング、
作画はテクスチャ表現でも生かせるスキルですし、
作曲もワールドBGMやボイスチェンジャーなどかなり大きな役割を果たしています。
それぞれの分野でアーティストが活躍できますし、
一般のプレイヤーも各々が好きなアバターを使って、自らがそのキャラクターを演じ、
それが一つのワールドで重なることによってみんなが主役の作品を生み出せる。
これは漫茶羅構想がもっとも理想とするものです。

また個人としてもVRとの出会いによって救われたところもあります。
自分が漫画制作で悩んだ時期に
フルスクラッチフィギュア制作に手を出した理由の一つには
親戚のおじさんが陶芸家なので、その血が入ってるのなら
作画よりも造形の方がのめり込める可能性があるかもしれないという思い込みもありました。
何の根拠もないのですが、
そんなことにすがるしかなかったのが当時の精神状態でした(;^ω^)
いろんな道具をそろえつつも現状ほとんど手を付けられていない状態でしたが、
今年、コミケ中止の発表からコミックVケットを知ってVR世界(VRChat)に参加したことをきっかけに
無料で使えるモデリングソフトBlenderゲーム開発ソフトUnityを導入し、
3Dモデリングという形でそれが実現する形となりました。
ほぼ一月で自作アバターを完成させ、
ここまで集中して作業できるのってグーグルアース以来かもしれない…
またワールド制作では小道具や家具のモデリングも必要になり、
家業の家具屋とも繋がることになったのです。
三本柱の残る「作曲」ですが、
当初は作曲できる兄弟の存在に委ねていたのですが、
自分でも少しは手を付けないとという事で
DTMを始めるためにMIDIキーボードを購入済みだったりします。
現在制作中のワールドBGM(効果音)も自前で用意できたらいいなと思っています。


漫茶羅三種の神器
モデリングで使うキーボード(造形)
DTMのMIDIキーボート(作曲)
漫画イラストで使うペンタブレット(作画)

数多くのVRゴーグルが登場した2016年はVR元年と言われ、
VRブームが来ると予想されましたが、
まだVR機材も高価なもので、そこまで大きな話題にはなりませんでした。
そこからキズナアイを筆頭にVTuberと呼ばれる
オリジナルアバターを使って架空のキャラクターに成りきる動画配信者が続出し、
2018年にはVTuberの数も飽和状態となり、一般にもかなり浸透しました。
VRChatはじめ気軽にVR体験ができるサービスが普及し、
VRゴーグルも低価格化が進んでおり、まさにこれからの分野であると言えるでしょう。

技術がいくら進歩したと言っても問題は中身です。
VRが自分の考える新たプラットホームとして完全か?と考えると
正直まだ未発達な部分もあります。
Vチューバーの活躍によって個人のキャラクターを維持することはできても
VRChatは所詮はチャットゲームなので
頒布アバターが持つキャラクター性や世界観を無視するような行動は当たり前に発生します。
やはり個人作品たるものある程度は作家が主体的に世界を構築したいものです。

ただこの点にも変化が起こりつつあります。
今までは3Dモデル販売やツール開発などの技術系がメインだったVR業界で、
版権アバターが跋扈し、同人即売会同様に著作権無法地帯的な部分もあったものの
VRMフォーマットの登場により、
3Dモデルへの人格権を含むライセンス整備、法的保護の考えが広がり、
今夏にはコミックVケットとミュージックVケットが開催され、
多くのアーティストがVR界に流入し、
VRに漫画・音楽要素が大きく加わることで
VR界にもある種の作家性が浸透するのではないかと睨んでいます。
もしかしたらVR上だけでドラマやアニメが作れる時代が来るかもしれない。
漫画作品をDL販売する上でも対面式即売会よりも
既に3DモデルをBOOTHで購入する事が浸透しているVRイベントの方がやりやすいし
日本は匿名文化なのでアバター文化との親和性も高く、これにかけてみる価値はあります。
第4回開催を経て拡大を続けるバーチャルマーケットは
年末に行われるVケット5から国内のみならず海外も意識した世界的なイベントに生まれ変わり、
こういうご時世もあり、その販路もさらに拡大するでしょう。

こうして今まで具現化できなかった漫茶羅計画や
もやもやした空気間の中で一人東京で悶々とくすぶり続けていたことも
奇しくもコロナのパンデミックで全てがクリアな状況となったのです。
東京アラートも発動され、コロナは予断を許さない状況ですが、
緊急事態宣言解除が解除され、県越え移動自粛も6月19日から解除される方針なので
第2波が来るまでのこのタイミングしかないのです。

コロナが偶然にも決定打となったとはいえ、
京都に戻ることは2年もの間熟考した上の判断であり、
これは消極的な撤退ではなく、積極的な転進です!
当サークルは物理的に東京から京都に拠点を移すのではなく、
リアル世界からVRへと進出する事になります!
その転換となるイベントが8月のコミックVケットです。
これからはVRをベースに漫茶羅構想を推し進めていこうと思います。

もちろんフルタイムで会社員として働くので、
今までのように創作にかけられる時間は少なくなりますが、
逆に言えば衣食住は保証され、精神的余裕は生まれるわけで、
かえって創作スピードが増す可能性もあります。
対面式即売会からVRイベント(DL販売)に移行する事で
東京ビッグサイトに行かないと買えないという制約や在庫リスクも無くなり、
移動費や印刷費も抑え、手間とコストを大幅に抑えることができます。
そもそも少ない時間でも創作を継続できるように漫茶羅構想を考えたところでもあるので、
最初は新しい環境に慣れるまで大変だとは思いますが、
仕事と創作活動を両立できるように工夫していこうと思います。
いろいろ落ち着いて条件が揃えばいつかリアルイベントにも復帰したい…

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