漫画村と漫画家の生存戦略

こんばんは。
このところ話題の漫画村問題について少し考えてみたいと思います。

漫画村とは誰でも無料で人気コミックスや雑誌が読み放題の
海賊版コミックス閲覧サイトです。
2017年10月25日にサイトが公開されて以降、
漫画業界への被害が看過できない規模になっており、
今年2月には日本漫画家協会が利用しないよう呼びかける異例の声明を発表しました。

直接情報をサーバーに保管しているため

著作権法上の問題はなしという運営の主張ですが、
違法でなければ認められるというわけではないでしょう。
運営は仮想通貨のマイニング処理を閲覧者に行わせることで
収入を得るスクリプトを仕込んでいたり、
月額500円の有料サービス「漫画村プロ」を始めるなど
他人のコンテンツで利益を得る盗人猛々しい行為を行っています。

無料で手軽に見たいというのは読者のエゴに過ぎません。

作家にとってみれば自分たちが命をかけて必死で作ったものが
簡単に読み捨てられるのです。
単に収入が減るだけでなく、創作する意欲をも削がれてしまいます。
一番の問題はこれから漫画家を目指す若者が減っていくことです。
この問題が見過ごされては日本の漫画文化は衰退の一途を辿ることになるでしょう。

同じく著作権問題で話題になるコミケなどの同人誌(二次創作)

作品へのリスペクトが前提にあり、
こうしたファンダムには権利者にとっても一定の価値があると見られているので
限定的に著作権がフリーになったり、権利者から黙認されているのであって、
著作物そのものをコンテンツとし

漫画家が漫画村を宣伝してくれたおかげでユーザーが1.8倍になった

漫画家たちからの批判を皮肉って挑発しているあたり
漫画家へのリスペクトが全く感じられません。
つまり相当悪質であると言わざるを得ないです。

漫画村は海外サーバーにあるため国内法を適応できないと言われていましたが、

11日から漫画村はアクセスできないよう状況になり、
デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく著作権侵害の報告を反映し
現在、Googleの検索結果から漫画村が削除されています。
政府もプロバイダに対し、ネット上で漫画や雑誌を無料で読める
海賊版サイトへの接続遮断を促す緊急対策に動き出し、
事態は終息に向かっているように見えます。
漫画村はたしかに許せないし、相応の報いを受けるべきだとは思いますが、
ただ漫画村を追い詰めて済む話じゃないのがこの問題の難しいところです。

今では何の罪悪感もなく行われるBOOKOFFなどでの立ち読み

見方を変えれば漫画村を現実世界に置き換えたような様であるし、
漫画村以前から同質の問題はあったのです。
ちょうど電子書籍も浸透してきたタイミングで
象徴的に漫画村が取り上げられているに過ぎません。

YouTubeニコ動、その他の動画サイトで音楽やアニメや映画を見たり、
Pixivでイラスト、マンガを見たり、
なんでも無料になってしまうインターネットという存在そのものが
大きくなりすぎた弊害はかなり深刻です。
コンテンツを無料で見ることに罪悪感を覚えない消費者が増えており、
そうした需要があるからこそ海賊版サイトが存在します。
音楽はJASRACが、動画は各テレビ局などが権利侵害の申し立てを行っていますが、
漫画業界は完全に対策に乗り遅れているとしか言いようがありません。
漫画村に代わるサイトが登場するのも時間の問題でしょう。
TPPによる著作権の非親告罪化など
今後、国内外問わず本格的に法整備が進むかもしれませんが、
一方で同人やダウンロードサイトなど大きな市場を形成している部分もあり
ネットには一長一短あることも事実。しばらくは混乱するでしょう。

私が漫画家志望者としてブログ収入を考えた背景も

この漫画村問題が少なからず影響しています。
同じことを権利者自身でやれば、わざわざ海賊版が出る余地はないのです。
こう言うと漫画の無料化を助長するかのようですが、
出版社がネットの波から作家を守り続けることが出来るのか疑問も残ります。
既にコミックス売上は電子書籍が紙媒体を上回りました。
多くの出版社もウェブ漫画サービスに乗り出していますが、
ここでも無料公開であるが故に
単行本印税のみで原稿料を出さないという事例や
逆にウェブ掲載で原稿料のみ印税なしという事例もあり、
作家サイドとすればまだまだ解決すべき問題は多いです。
穿った見方をすれば漫画業界は
今回の漫画村問題を単行本が売れない言い訳にしているようにも見えます。
いずれにしても無料の漫画をどう有料コンテンツにしていくかという部分は
これから全ての漫画家にとって大きなテーマになっていくのではないでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました