『仮面ライダークウガ』

「仮面ライダークウガ」(2000年東映/テレビ朝日)

西暦2000年。長野県山中の九郎ヶ岳で謎の遺跡が発掘されたが、棺の蓋を開けたことで目覚めた謎の存在によって、夏目幸吉教授らの調査団は全滅させられてしまう。捜査に当たった長野県警刑事・一条薫は五代雄介と名乗る冒険家の青年と出会う。雄介はそこで見せてもらった証拠品のベルト状の遺物から、戦士のイメージを感じ取る。
ズ・グムン・バに遭遇した雄介は、咄嗟の判断でベルトを装着して戦士クウガに変身した。そして、人々の笑顔を守るために怪人たちと戦うことを決意する。
以後、クウガと怪人たち=グロンギは「未確認生命体」と呼ばれ、人々に認知されていく。

久しぶりの作品レビューですが、
放送20周年記念という事でアマプラで一気に通して観ました。
放送当時はあまり見てた記憶がないんですよね。
前番組のロボコンは親と一緒に見てた記憶があるし、
後番組のアギトはいくつか玩具も持っていたのですが、
ずっぽりクウガだけ抜けているような感じ。
同時期のタイムレンジャーはタイムロボも買ってもらっていたのですが、
やはりクウガは残酷描写も多く大人向け過ぎたのかもしれません。

数年前の北海道時代に作品に触れる機会があって
アギト共にDVDをレンタルして少しずつ見ては
当時物の装着変身などを収集してたのですが、
結局二作品とも最後まで見なかったんですよね。
やはりこの点アマゾンプライムは
ディスク交換しなくても一気に見れるのがありがたいですね。
(逆にいつまでも見てしまうのだけど)

平成ライダー第一作という事で原点回帰と言える作品ではありますが、
医療技術が発達した現代では改造人間という設定が受け入れづらいという事で
定番だった改造人間としての苦悩というテーマが無くなり、
悪の秘密結社も登場しないなど昭和シリーズとは大幅な変更があります。
クウガこと五代雄介の変身の掛け声も
以前の「へ~んしん!」という歌舞伎の見得のようなものではなく、
「へんしん!」と自然なものとなり、後のシリーズに受け継がれていきます。

デザインは故石ノ森章太郎の残した
クワガタモチーフのスケッチが元ですが、
多彩なフォームチェンジが取り入れられたカラフルなライダーである点が特徴です。
こうした二段変身は「仮面ライダーX」の大変身よろしく劇中では超変身と呼びます。
仮面ライダーとしてはストロンガーのチャージアップやスーパー1のファイブハンド、
BLACK RXのロボライダー、バイオライダーなど前例はありますが、
単なる色違いや、体の一部だけ交換したり、姿が全く変わってしまうのではなく
基本の形態はそのままでメインカラーと追加的な装飾が変わるという点は
どちらかというとティガ、ダイナなど先行する平成ウルトラシリーズからの影響を伺えます。
改造人間という設定が無くなったことで、
この超能力は科学ではなく
超古代のロストテクノロジーであるというオカルト色を強めたことで
一層ウルトラシリーズと共通したイメージを与えています。

物語は前作のロボコンのホームドラマからは一変してサスペンス色の強い作品となっています。
超古代の封印が解かれ、
グロンギという戦闘種族が一般市民に対して無慈悲な殺戮を開始する。
警察は未知の生命体に対抗していきます。
警察内部の描写は徹底しており普通の刑事ドラマと遜色ありません。
当初は未確認生命体としてグロンギと一括りにされていたクウガですが、
バディの一条刑事を介して警察も徐々に協力関係を気付くようになっていく過程や
リント文字やグロンギ語、ゲゲルという殺戮ゲームなど
超古代文明の設定が非常に細かく作られていて
単なる子供向け番組だからといった手抜きが感じられません。
「英雄はただ一人でいい」という歌詞の通り
ライダーを一人に絞り、その重責を背負わせたことで
孤高のヒーローとしての使命感を強調しつつも
クウガの協力者たちがそれぞれ考古学的見地からの碑文の解読、
医学的な身体能力の解明、科学的な対抗兵器の開発など
人類が多方面から協力してグロンギに立ち向かっていく姿は大きなカタルシスを生んでいます。

映像的には初期段階ではありますが、CGを積極的に取り入れようとする意欲が感じられ、
今ではお飾りになりつつあるバイクアクションにも拘りを感じます。
主演は今では大物役者になってしまったオダギリジョーさんです。
この頃から特撮番組もイケメン俳優と呼ばれるママさん層を意識した配役が進みましたね。
こうしてメインターゲットである子供のみならず、パパママも
親子二代で楽しめる番組を作ってきたことが平成ライダーシリーズ化に繋がっていったのですが、
リアタイで見てた自分は逆に見なくなっていったんですよね(;^ω^)
今の目で見ると中盤以降、怪人が出て一般市民が襲われ
警察の連絡を受けてクウガが怪人を倒すという流れがパターン化していて
主人公も楽観的過ぎるという意見もあるようですが、
パターンに関しては個人的には心地よい程度のものだったし、
流血シーンや残酷描写も多い暗く重い作風なので
子供も見るヒーロー番組としては最低限の配慮として
どこか気が抜けたあの明るさが必要だったのではないかなと思います。
もちろん五代もただ明るいのではなく、
暗い過去を背負いながらも常に明るく振舞っているだけなのですが。
最終決戦はまさかの殴り合うだけというのは逆にリアルに感じましたし
エヴァ同じく賛否両論を巻き起こした最終回もスタッフの作品愛を感じる結末だったと思います。
ディケイドやジオウでオダギリジョーの出演を最後まで期待していた方もいるでしょうが、
後番組アギトの時間軸のズレといい、作品を見終わって感じるのは
自分の笑顔を犠牲にして戦った五代雄介の物語をこれで終わらせたい
というスタッフの思いが伝わってきます。
そういった意味でも平成ライダーシリーズの中では別格扱いでしょう。
ライダーのメイン商品と言えばベルトですが、

形状はおそらく1号2号をモチーフとしていて
古代文字(リント文字)が刻まれているデザイン。
「ソニックウェーブ DX変身ベルト 仮面ライダークウガ」
従来の光る回るを受け継ぎつつも
多色発光でフォームチェンジ遊びができるようになり、
左右に二台のスピーカーを設置し変身音を再現するなど技術的な進歩が見られます。
劇中通りの変身モーションで起動スイッチが押せるような工夫もされています。
昨年にはプレミアムバンダイで平成最後のCSMということで
決定版ともいえるアークルが発売されました。
コンセデ版が3万越えだったのに
グレードアップしたCSMが2万円台に抑えられたという事で
安いという錯覚を起こすほどでしたが、
なんとか物欲を抑えて見送ったものの
クウガを視聴中の1月にちょうど抽選販売の受付が始まっており、
うっかり応募してしまいましたw
明日が当落発表なのですが…どうなるのやら…

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