こんばんは。
今日で早くも2月が終わりますが、この訃報に触れないわけにはいかないでしょう。
去る2月13日に漫画家の松本零士さんが85歳で亡くなられました。
いつか来ると思ってはいたけど、現実にその日が来るとなんとも言えない儚さを覚えます。
2021年さいとう・たかを先生、2022年藤子不二雄Ⓐ先生と続き、
トキワ荘世代の漫画家はほぼ鬼籍に入られました。
第一次アニメブームの立役者
監督として参加した1974年放送のテレビアニメ
宇宙戦艦ヤマトは第一次アニメブームを引き起こしました。
ヤマトのヒットがあったからガンダム、エヴァが生まれた訳で、
このヤマトがスターウォーズよりも先行して制作されたことが、
日本SF界、アニメ界には重要な財産になったと思います。
ヤマトの原作が誰のものかという点では
プロデューサーの西崎義展との間で裁判になり、松本零士の敗訴が決まっていますが、
全てのキャラクター、メカのデザインを手がけ
ビジュアル面で多大な貢献をしたことには間違いがありません。
特にヤマトの元となる戦艦大和の船首の菊の御門を描くか否かで問題になった時、
菊の御門の位置に砲口を開けつつ、
内部のモールドで見方によっては菊の御門にも見える
波動砲をデザインした事は最大の貢献といってもいいでしょう。
自身の原作である「銀河鉄道999」にも共通する
宇宙に美女や宇宙に戦艦や機関車が描かれる印象的なイメージは
神秘性やノスタルジーを喚起させる重要な要素でした。
また松本零士の父親が旧日本軍でパイロットをしていた関係で、
戦闘機の造詣にも詳しく、精密なメカ描写や戦場漫画を得意とし
「エリア88」の新谷かおるに至る系譜を生みました。
松本アニメのスター・システム
そして「男おいどん」「キャプテン・ハーロック」「銀河鉄道999」など
同一キャラが複数作品に登場するスター・システムは
「歴史と神話の黙示録」執筆のきっかけにもなり、
私自身の創作活動にも強い影響を与えました。
作品作りとしてはメタ要素が多く、
キャラクターを俳優と捉える手塚治虫のスター・システムよりも
同一世界観、時間軸で制作される
松本零士のスター・システムの方が受け入れやすかったからです。
トキワ荘の一番近いところにいた日本一の漫画コレクターでありながら
手塚治虫が成し遂げられなかったアニメでの成功を収め、
アニメと漫画の両方でメジャーな存在となった松本零士の功績は
後の時代も語り継がれていく事でしょう。
星野鉄郎の声を当てた声優野沢雅子さんの追悼文が印象的です。
既に車掌さん【肝付兼太(2016年没)】が999号で待ってると思いますので、どうか一緒に楽しい旅を続けてください。
ご冥福をお祈りいたします。
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