『シン・仮面ライダー』

前作にあたる「シン・ウルトラマン」は賛否が分かれる形となりましたが、
なんだかんだで樋口真嗣監督作品だからとかいろいろ言い訳が出来ましたが、
今回は正真正銘の庵野秀明監督作品であり、
庵野秀明展まで開催して期待値を最大限にまで引き上げていました。
OP再現のプロモ映像や予告、追告の完成度も高かったです。

観た結果として分かったのは樋口監督だけが悪いというのは不当な評価だという事と
シン・ゴジラはある種の奇跡だったという事です。

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良かった点

まず良かったところを言うと、シン・ウルトラマンと同様にファンサービス満点な所です。
リファインされた仮面ライダーや各オーグメントのデザインもカッコよくて良かった。
本郷猛がショッカーに捕らわれて改造手術を受ける描写を吹っ飛ばして
いきなり組織を抜け出して敵に追われる場面からスタートする冒頭シーンで
出だしから気を抜けない臨戦態勢にさせられ、
コートを着た目新しくも懐かしいライダーが登場し、
圧倒的な力でショッカーの戦闘員をなぎ倒し、見覚えのあるダムでのクモオーグとの決闘。
最高の出だしだったと思います。

PG12に指定された根拠と思われる殺傷流血シーンですが、
暴走したエヴァにも見えつつ、
オリジナルのTVシリーズでは蛇口を壊してしまうシーンで出た
改造人間として加減の利かない強すぎるパワーをストレートに表現し、
残酷でありつつもカタルシスを感じる映画ならではの表現と好意的に受け止めました。

仮面を外した素顔のライダーの顔に傷跡が浮かび、バッタの怪物のような見た目になる所や
2号ライダーのサムズアップなど
続編がとん挫したリブート作品である真・仮面ライダー
平成第一作目である仮面ライダークウガを引き継いで包括するような要素も感じられて良かった。
ロボット刑事やキカイダー、イナズマンなど
他の石ノ森ヒーローの要素があったのも良い。

ロケーションが良くて美しい景色がいっぱい出てきました。
ストーリーもラストの展開も個人的には良かったと思う。
設定は基本的に石ノ森章太郎の原作に忠実ではありますが、
シンゴジラやシンウルトラマンよりも良くも悪くもエヴァっぽさが強かった。
「エヴァしか作れなくなるぞ」という師匠の宮崎監督の言葉がここに効いてくるとは…

悪かった点

結局、圧倒的にCGのクオリティ、アクションです。
アクションで面白かったのはクモオーグとの戦いぐらい。
ほとんどの戦闘シーンが下手なCGであり、見せ方もよくない。
コウモリオーグのあたりで嫌な予感。
2号との戦闘もドラゴンボールのような異次元バトルは仮面ライダーに誰も求めてないと思う。
ショッカーライダーとのチェイスバトルは画面が暗くて何が何だかよく分からない。
今もテレビでやってるライダーのCGレベルを再現してるのだとしても理解できない。
シン・ウルトラマンでも思ったけど、
等身ヒーローであるライダーこそ生身のアクションに拘ってほしかった。

そして設定に関して登場人物がべらべらとおしゃべり過ぎるのが
個人的には興ざめしてしまった。
リアリティを追求したい気持ちはわかるけど、
そういうところをファジーにして楽しむのが
特撮ヒーローの醍醐味だとかえって気づかされました。

ショッカーという組織に関しても最後までよく分からなかった。
一般市民がショッカーに虐げられる描写が少なくて、
プラーナがどうのこうのと言いながら
結局緑川家の家族問題に巻き込まれた不幸な青年の物語という
スケールに収まってしまっている。
映画の前日譚として漫画作品
「真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-」が存在しますが
これを見れば感想も変わるのだろうか…
ただそれは映画としての評価にはならないので、
ちゃんと映画の中で描くべきことは描いてほしかった。

シンシリーズの役者が今回もたくさん登場していますが、
どれも配役がシックリこなかった。
シン・ウルトラマンでの政府の男(竹野内豊)登場のインパクト以上のものが無かった。
結構序盤に竹野内豊と斎藤工が出たので
今回はそういうギミックとして捉えていないのだろうとは思うけど、
タチバナとタキを出すなら西島秀俊有岡大貴の方が良かったと思う。
スケジュール合わなかったのかな?

※オリジナルで立花藤兵衛を演じた小林昭二は
ウルトラマンで科特隊のリーダー、ムラマツキャップを演じており、
西島秀俊はシン・ウルトラマンで禍特対のリーダー田村君男を演じているので
配役オマージュができたし、
仮面ライダーBlack Sunで主人公、南光太郎を演じており、ライダーとの繫がりもある。
有岡大貴はシン・ウルトラマンで同姓の滝明久を演じていた。

まぁ配役の段階で分かる人には分かるのでラストの名乗りが生きてこないけどね。

総評

正直、シン・ウルトラマンよりも面白かったかどうかについては
評価を決めかねている状況です。
今回は改造人間としての孤独という重要な要素もあったし、
ヒロインとのロマンス2号との友情という人間ドラマとしても描けていたので
そういう意味ではシンウルよりも一般的には分かりやすかったと思う。
一方でエヴァっぽさが滲み出過ぎている側面があって
石ノ森愛については痛いほど良く分かったけど、
展開が早すぎて感情処理が追い付かない。
そしてアクション特撮映画としては熱量が感じられなかった。
ラストは次に繋がるような終わり方であり、
もしかしたらシンウル同様に次回作の企画もあるのかもしれないので、
とりあえずはデザインワークスの販売を待って二回目を見たいと思います。

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